でいこ (梯姑) 

学名  Erythrina variegata (E.variegata var.orientalis, E.indica, E.boninensis)
日本名  デイコ
科名(日本名)  マメ科
  日本語別名  デイク・デイグ・デイゴ・デンゴ、シトウ、ハリギリ
漢名  刺桐(シトウ,cìtóng)
科名(漢名)  豆(トウ,dòu)科
  漢語別名  海桐・海桐皮、山芙蓉(サンフヨウ,shanfurong)、鷄公樹、廣東象牙紅(カントンゾウゲコウ,guandong xiangyahong)、曼陀羅(マンダラ,màntuóluó)、空桐樹
英名  Variegated coral tree, Indian coral tree
2023/03/16 小石川植物園 (温室)

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 デイコ属 Erythrina(刺桐 cìtóng 屬)には、世界の熱帯・亜熱帯に約110-120種がある。

  トゲミデイゴ E. acanthocarpa
  E. arborescens(刺木通・刺通樹・鸚哥花・喬木刺桐・泡龍刺桐・海桐皮)
         
『雲南の植物Ⅱ』137・『週刊朝日百科 植物の世界』4-271 
  E. caffra(南非刺桐)
  サンゴシトウ(ヒシバデイコ) E. corallodendron(E.×bidwillii;龍牙花・珊瑚樹)
         『中国本草図録』Ⅶ/3177
  アメリカデイコ(カイコウズ) E. crista-galli(E. americana;鷄冠刺桐・梯姑)
  E. herbacea
 草本 
  E. speciosa(象牙花)
  E. stricta(勁直刺桐)
  E. subumbrans(翅果刺桐)
  デイコ
(フイリデイコ・デイゴ) E. variegata(E.variegata var.orientalis,E.boninensis,
         E.incidica;刺桐・海桐皮・山芙蓉・空桐樹) 『中国本草図録』Ⅳ/1691
  E. yunnanensis(雲南刺桐)
     
 マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科・荳科)については、マメ科を見よ。
 和名は、漢語の梯姑(テイコ,tīgū)の、沖縄地方の音。
 梯姑は、梯梧(テイゴ,tīwú)・梯沽(テイコ,tīgū)などとも書き、あるいは中国南方の方言に由来するものかともいう。
 サンスクリット語名はマンダーラ mandara(ヒンディー語でマーンダール mandar)、これを漢語に曼陀羅(マンタラ,màntuóluó,まんだら)と音写する。
 漢語・和語の曼陀羅花(マンタラカ,màntuóluóhuā,まんだらげ)には、次の3種類の植物のイメージが重なっている。
 ① 仏教経典に現れる曼陀羅華。乃ち サンスクリット名をマンダーラと呼ぶデイコ
 ② 薬草チョウセンアサガオの別名。
 ③ 西洋の有毒植物マンドレークの翻訳語。
 東南アジア原産、インドにも野生する。
 沖縄・臺灣などでは庭木として植える。
 樹皮を海桐皮と呼び、薬用にする。
 マルコポーロ『東方見聞録』に、福建省泉州をザイトンと表記するのは、刺桐(シトウ, cìtóng)の音の訛りという。当時、泉州の城壁にはデイコが列植されていた。
 日本では、九州南部以南で栽培する。沖縄県の県花。
 中国では、泉州の市花。
 仏教経典では、曼陀羅華(màntuóluóhuā,まんだらげ)と呼び、美しい花の代表として、散華に用いる。
 たとえば、『妙法蓮華経』序品に、ブッダ(仏,釈尊,お釈迦様)が ラージャグリハ(王舎城)のグリドゥラクータ(霊鷲山,りょうじゅせん)で、多くの人々に教えを説き終わると、「この時、天は曼陀羅華(まんだらけ)・摩訶(まか)曼陀羅華・曼殊沙華(まんじゅしゃけ)・摩訶曼殊沙華を雨(ふら)して仏の上及び諸(もろもろ)の大衆(だいしゅ)に散じ」た、という。
 曼陀羅華は、マーンダーラヴァ花の音写、「適意華・天妙華」と意訳する。見る者の意を喜ばせる花、の意。曼殊沙華は、マンジューシャカ花の音写、「柔軟華」と意訳する。見る者に剛強から離れさせる花、の意。摩訶は、マハーの音写、「大」の意。
 なお、曼殊沙華については、ヒガンバナを見よ。
 曼陀羅華は、ブッダ(仏,お釈迦様)臨終の際も天から降った(『ブッダ最後の旅』)
 また、阿弥陀仏の居ます西方極楽浄土では、「昼夜六時に、曼陀羅華を雨ふらす
(夜に三度、昼に三度、天上のマンダーラヴァの花の雨を降らせる)」という(『阿弥陀経』)

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